『弓道 立禅の世界』講師:飯島正大先生

日時:10月5日(土)18時30分~20時30分
会場:深川スポーツセンター
講師:飯島正大先生

「立禅」とも云われる弓道。

克つべき的は己の内にあり、その勝負に他人が介する余地はない。
数多ある武道のなかでも、他者との戦いではなく、自分自身との戦いによって勝負が決まる武の道、それが弓道です。

本日の和塾、ザ・武道編、清廉な空気をまとった先生は、飯島正大範士八段です!

先生、立っても座っても、美しい〜!
年齢や性別を超えた美しさ、武の道を極めるとこのような佇まいが生まれるのですね。

会場にはこれまた美しい的が、遠く見えています。
そのような静謐な空間で、まずは先生の優しい解説。
的の幅は、人間の身体の幅に相当する36センチとのことで、もとは戦のための武道であった名残を感じます。
しかしながら、弓道においてはその的に当てることが重要なのではなく、それに至るまでの一連の作法、構えの過程で精神統一がなされること、そしてそのための修練に意味があるとのこと。

そんな深いお話を聞いて、心の準備ができたところで、いよいよ先生のお作法を拝見!
これは単にその場に立って矢を放つというものではなく、入場から始まり、袖を抜き、構え、射て、袖を通し、退場するという一連の作法から成り立ちます。
そして、その所作のどれもが本当に美しい。

いよいよ先生がゆっくりと弓を引き、矢を放つ一瞬前、空気が静止。
次の瞬間、矢が消えた!と思ったら、もう遠くの的に的中していました。

おお〜、という響めきのなか、先生の周りだけは静寂のまま。先生が退場されて笑顔で戻ってきて下さったところで、我に返った塾生も、さっそく実技にチャレンジすることに!
さて、「弽(かけ)」というグローブを引き手に付け、弓を持ってみると意外に長い。
弓の長さは七尺三寸(221センチ)が基準とのことで、その上から三分の二のところを握って構えます。

 

 

 

そして生まれて初めて弓を引いてみると、これがまず、まっすぐ引けない。
前後に開くように引くのですが、強い力が必要なので、ぐらぐらしてしまい、なかなかまっすぐ構えられません。
先生のお手本では、あんなにするすると所作をされていたのに、見るのとやるのとでは大違い。 それでもどうにか弓を引き、矢を放つと、方々に飛んでいって賑やかなこと。
ドタバタ喜劇のような私たちと、先生の静謐なお作法の差に、改めて鍛錬の意味の大きさを感じました。

終始、和やかで美しい先生。矢を引いた先生のお姿を見て、ダヴィンチのウィトルウィウス的人体図を思いだしました。 研ぎ澄まされた人体は、美しいものですね!

SONY DSC