text by okn
2014年はワールドカップ・ブラジル大会が開催され、名門チームの選手たちも皆、自国の威信を背負って試合に望んでいます。我が日本は、残念ながら一次リーグ敗退になってしまいました。サッカーを観ていると、日本人の勝負に対する感覚は、欧米人とは少し異なるようにも感じられます。
そこで、和塾では、ワールドカップが開催されている時期に合わせて、サッカーの原点「蹴鞠」に触れ、同じ“蹴る”行為が「球」と「鞠」ではどう違ってくるのか、京都より蹴鞠保存会理事長の上田恒弘先生お招きして学んでみたいと思います。
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和塾本科お稽古『蹴鞠』
日時:2014年6月21日(土)15時〜
講師:蹴鞠保存会理事長・上田恒弘先生
会場:高輪・道往寺
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現在日本に伝わる「蹴鞠」には、勝ち負けというものはありません。
しかし発祥地である中国では、チーム対抗の競技であったというから、サッカーのように勝ち・負けが存在していたようです。中国でもその後、鞠を落とさないで蹴る技を披露するものになったという事ですが、現在では完全に姿を消しているようです。
中国の蹴鞠は、日本には奈良時代に伝来したとみられ、平安時代には宮廷競技として貴族に広まりました。
日本の「蹴鞠」は、対抗戦で勝ち負けの判定を決める事はなく、いかに鞠を落とさずに人に繋いでいくか、という人を思う心遣りを持った遊びになっていったようです。
同じ東洋といっても、自我を前面に出して決着を望むのと、勝ちを取る事を尊ばない国民性の違いが、「蹴鞠」という文化が残ったか残らなかったかになった様にも思えます。
欧米では勝者は讃えられるもの。もちろん我が国でも当然そうではあります。
しかし一方で、敗者に対する情のかけようも又独特なものがあります。
鹿革の鞠は思いのほか軽く、右足の親指の付け根で蹴るというのだが、うまく当れば良い音が響きます。
この軽い音色ではないが、日本代表に、次のロシアはがんばろうね・・・などと軽く思ってしまうのは、いかにも日本的な感覚なのでしょうか。