京都南座顔見世「花街総見」鑑賞と料亭祇園「鳥居本」の宴

和塾による「Premium Experience」。12月の会は、すっかり冬景色となった京都にて。南座での顔見世興行「花街総見」と料亭「鳥居本」の宴を開催いたしました。

 

まずは四條南座での歌舞伎観劇です。開場を前に、宮川町の芸舞妓が連れだって劇場にやって来ます。
京都の師走の風物詩、南座の顔見世興行、今年は「當る未歳 吉例顔見世興行 新檜舞台開き 東西合同大歌舞伎」と銘打った盛り沢山の舞台が幕を開きます。中でも、京都花街の芸妓・舞妓たちが花街ごと揃って桟敷席に居並び舞台を鑑賞する『総見』の日は、顔見世興行の華。東西の名優が揃う舞台の華やかさにも引けをとらない艶やかに支度をした芸舞妓たちに囲まれての歌舞伎観劇は、年に一度この時だけの貴重な機会なのです。当然、総見の日の観劇切符は入手困難で有名。けれど、そこは、和塾ならでは。良席を20席余ご用意して、贅沢でまたとない「吉例顔見世・花街総見」鑑賞です。

12月の京都四條南座について少し。桃山風破風造の威容が目を引くこの劇場では、毎年11月25日前後の吉日に翌月の顔見世興行に出演する役者の名前を書いた「まねき」看板が上がります。江戸の昔、歌舞伎役者の契約は年俸制で、旧暦十一月から翌年十月までの一年契約。そこで、毎年十一月初めに各座の新たな顔触れが舞台で口上を述べることを「顔見世」と称しました。まねきの看板は、この役者衆の名跡を掲げたもの。これが現在の顔見世興行の始まりで「歌舞伎正月」の異名もあります。現在では京都の年末の風物詩となった南座の「顔見世興行」。まねきが上がると、師走の四条通を行き交う人の目にもくっきりと俳優の名前が飛び込み 京の街はいよいよ顔見世の話題であふれます。今年は、平成三年の新装開場以来、舞台を張り替えての「新檜舞台開き」も話題でした。

総見の顔見世興行鑑賞の後は、思い思いに祇園の街を散策。初冬の風で観劇のほてりを鎮め、夕闇が迫る頃に老舗料亭「鳥居本」へ。織田信長の弟で利休七哲の一人・織田有楽斉の屋敷跡に佇む創業二百五十年の館がご参加の皆さまをお迎えします。座敷から手入れの行き届いた日本庭園の冬の趣を望みながら、長崎の卓袱料理を京風に洗練させた「祇園料理」を味わう。まさに暮れ行く京を愛でる極上の宴となりました。お座敷には、総見を終えた芸舞妓もご挨拶に顔を見せ、舞と踊りでお座敷に華を添えます。

お座敷に入った舞妓の髷には、いつもとはちょっと違う簪(かんざし)が揺れていました。顔見世の総見の時 舞妓が髷に挿す「まねきの簪(かんざし)」ですね。南座正面に掲げられる 本物の「まねき」同様に歌舞伎役者の名前が書かれた簪。総見の前に、贔屓の役者の楽屋を訪ね無地の「まねき」に役者から直接名前を書き入れてもらうのです。この簪が見られるのはこの時だけ。まさに「極上の和文化体験」。和塾による「Premium Experience」、次回はあなたもぜひ。

雪はしとしとまる窓に
つもる逢うせの差向い
灯影つめたく小夜ふけて
もやい枕に川千鳥
祇園恋しやだらりの帯よ