体験・太棹三味線

たんなるBGMではなく、情景、登場人物の感情を表す、義太夫の三味線。文楽では男性のみで演奏される義太夫、その義太夫に女流のプロがあることをご存知ですか?

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日時:2017年10月24日(火) P.M.7:00開塾
場所:来迎山 道往時 本堂
講師:女流義太夫節浄瑠璃三味線方 鶴澤寛也 鶴澤津賀花
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義太夫とは語りの大夫(たゆう)と太棹三味線でなる、伝統芸能の音楽のことです。江戸時代竹本義太夫というアーティストが作った音楽があまりに面白くて人気があったので、彼の名前をとって義太夫節という名前になりました。

江戸時代、女流義太夫の人気は高く、追っかけファンがいたほど。今放送中のNHKの朝ドラ「わろてんか」で広瀬アリスちゃんが演じていますね。
本日の和塾は女流義太夫節三味線方の美人御師匠さんをお招きして、太棹三味線の体験です。

三味線は大きく分けて3種類、細棹、中棹、太棹三味線です。
細棹は長唄に、中棹は語り物に、太棹は民謡などで演奏されます。

棹は、紅木(こうき)。大陸原産の銘木です。大変硬く、高価な木です。三味線は日本独特の楽器ではありますが、そのルーツは大陸にあることがうかがえます。爪で弦を抑えるため、棹の部分が減っていきます。減るとカンナで削って、漆をかけ直していくため、どんどん細くなっています。目が詰まった良木ですと、減る速度が遅いので、高価でも良木を使います。紅木よりランクが下がると、紫檀、お稽古用では花梨などを使用します。
三味線はバイオリンなどと違い、半永久的に使える楽器ではなく、消耗品なのですね。

胴はけやきで、皮は犬または猫です。猫皮はポツが4つあるのが目印、これは猫のおっぱいだそうで、業界用語では猫皮の事を「ヨツ」と言うそうです。

それぞれ音域も違います。撥(ばち)は象牙。ワシントン条約で新しいものが作られないため、今あるものを大切に使っています。

糸は絹をよってできています。黄色いのはウコンで染めているから。ウコンは防虫効果があるため、絹糸の虫よけになります。一説では、もともと昔の絹糸は黄色だったからという説も。

駒。駒には鉛がついています。その日の天候などによって、使い分けます。

さて三味線はどのようにしてできたのか。
一説には大陸→沖縄→大阪(境港)にはいって当時流行していたびわと合体して、三味線になったと言われています。

一番大切な役割。
太夫さんの演出効果、語りが盛り上がっているときは三味線も盛り上げる、悲しい時は悲しいように弾く、情景描写です。観客の頭のなかでの情景描写を助け、太夫の演技を際立たせます。

例えば動物の登場も音楽で表します。
とら・きつね・へびなど。
音だけ聞いても、不思議とイメージが浮かびます。

塾生一人ひとり、実際に三味線を弾かせて頂きました。
まず座り方から。しっかりと力はいるよう膝間は拳2個分程広げて、足先はつけてかかとぐっとだす。
座り方もなかなか難しい。

そしてバチの持ち方。薬指と小指の間に引っ掛けますが、これがとにかく痛い。数分持っているだけで、青く跡が残るくらい痛いのです。先生方の指のタコにも驚きました。

そしていよいよ三味線本体。
弦を押さえます。通常は指の頭の部分(爪先)で弦を抑えるそうですが、初心者はまずできないので、指の腹で抑えます。

事前にレクチャーを受けた「さくらさくら」を引いていきます。
塾生の皆さん、ちゃんと音階がとれ、演奏されていました。

もともと寛也先生は大学生の頃から歌舞伎がお好きで、三味線を習ったらもっと歌舞伎が楽しめるのでは?ということでお三味線を始められたそうです。

津賀花先生はもともと音大で音楽を習われていいて、国立劇場でのアルバイトをされていたそうです。お二方とも、最初から女流義太夫のことは知らなかったそう。「女性でもプロへの道が開けています」との協会のチラシをみたそうですよ。

お二人の先生の演奏、とにかく迫力があってかっこいい。
ぜひ生でご覧になってみてください。
鶴澤寛也先生のHPに女流義太夫演奏会のスケジュールがございます↓
http://tsuruzawakanya.com/schedule

鶴澤寛也先生、鶴澤津賀花先生、どうもありがとうございました。