和洋のさかいをまぎらかす〜日仏天目茶碗の茶会

フランスにも人間国宝制度があるのをご存じですか?日本の人間国宝にならってつくられたもので、フランス文化通信省により、伝統工芸の最高技能者に授与される称号です。2016年現在の認定者は124名。2017年秋、その中から選ばれた13名による日本初の展覧会が東京国立博物館で開催されました。

そこで、和塾では、この「フランス人間国宝展」の開催と合わせて、特別な企画を併催。今回の展示の中でもっとも注目を集める陶芸部門の人間国宝・ジャン・ジレル氏をお招きし、氏の代表作である「窯変天目茶碗」を主茶碗に、益田鈍翁旧邸から移築された茶室「応挙館」での茶席を開催しました。

亭主をお務めくださったのは、国内各地で稽古場を主宰しつつ、茶の湯を基本に執筆や雑誌・テレビ番組をはじめ展覧会などの監修・コーディネートを手がける茶人・木村宗慎さん。

せっかくの機会ですから、日本の陶芸家による「天目茶碗」も取り合わせて。日仏の芸術をを織り交ぜた、空前絶後?の茶会となりました。

さらに、この日は、これまた和塾ならではのサプライズ。本家・日本の人間国宝、漆芸蒔絵の室瀬和美先生が、自作の茶器を携えてご来室。日仏の人間国宝が揃う、誠に豪華な茶席と相成った次第です。

これぞまさに、今数寄者好みの「和洋のさかいをまぎらかす」ひととき。フランス人間国宝展の特別観覧も合わせて、芸術の秋をご堪能いただく好企画でありました。

会場となった「応挙館」

これがその、日仏の天目茶碗

フランスの人間国宝(Maître d’Art)ジャン・ジレル氏

本家日本の人間国宝・室瀬和美先生

気鋭の茶人・木村宗慎さん

 

和洋をまぎらかした茶会記。随所に織り込まれた「和」「洋」の趣向をご確認ください。

【本席】
床    大徳寺156世 江月宗玩筆 横物「万里一條鉄」
花    秋明菊 吾亦紅 黄蓮華升麻
花入   備前 耳付 金重陶陽作
香合   時代 扇面蒔絵鏡ノ笥 仙台伊達家伝来
久松家伝来 能装束裂ニノセテ
風炉先  松花堂好 木地市松 前田南斎作
釜    利休好 雲龍 仙叟箱 初代寒雉造
風炉   唐銅蝶鐶付
水指   義山四方桝 バカラ製
茶入   藤重作 真中次
茶杓   利休作 共筒 大徳寺高桐院伝来
茶碗   天目 ジャン・ジレル作
替    唐物 建盞 尼崎台ヲ添ヘテ
替    建盞天目 九代宗哲 天目台ヲ添ヘテ
替    曜変天目 林恭介作
替    備前 藤原雄作
替    ルビニャック樂 十五代樂吉左衞門作
替    萩 十五代樂吉左衞門作
蓋置   竹 玄々斎在判
建水   唐銅 棒ノ先 七代浄益 造
茶    芳心軒好 鶴嶋 丸久小山園詰
菓子   和栗のオペラ AZUR et MASA UEKI謹製
器    墨はじき雪文皿 十四代今泉今右衛門作
替    仙叟好 石地塗 銘々皿
薄茶器  瓢蒔絵棗 室瀬和美作
金鎌倉 四峰線茶器 黒田辰秋作
志村ふくみ作仕覆添
茶    一風の白 丸久小山園 詰
干菓子  梅と塩昆布のマカロン・黒ごまのキプフェル・柚子のウィークエンド
AZUR et MASA UEKI製
干菓子器 木製裁縫箱

【書院】
オールドバカラ 竹ニ蜻蛉文花入
床 石地塗 四方小卓 渡辺喜三郎作ニノセテ

【点心】 Azur et MASA UEKI 調製

 

本席の床は江月宗玩筆「万里一條鉄」

水指はバカラ製の義山四方桝

点心はフレンチの名店Azur et MASA UEKIの出仕事で

植木将仁シェフ

室瀬和美先生作の棗

オールドバカラの花入

日仏の人間国宝と和塾の世話人T