江戸東京が誇る最高峰の食の職人仕事を山本益博さんの案内で一年間・四季を通して巡る「江戸東京・職人仕事の美食巡礼」。和塾だけの文字通り「垂涎」の企画であります。連続四回のシリーズで、すし・そば・てんぷら・うなぎ。本物の江戸前の美食と誇るべき日本の文化を四季の移ろいを感じながら、贅沢にたっぷりと堪能します。冬2月は「蕎麦」・神楽坂の名店東白庵かりべを訪ねます。春4月は「鰻」飯倉の野田岩。夏7月は「鮨」・オバマ大統領も出掛けたすきやばし次郎へ。そして、秋10月は「天麩羅」・茅場町のてんぷらみかわです。いずれも食通なら一度は訪れたい都内最高峰の名店ばかり。山本益博さんとともに巡れば、お楽しみも倍増。各店のご主人・親方と益博さんのお話しをうかがいながらいただく江戸東京美食の極致。まさに絶品を堪能する、和塾だけの「特別限定」の機会であります。
さて今回のレポートはその第二回・野田岩の「鰻」巡礼です。
飯倉の野田岩本店。
いつものように、益博さんのお話からはじまった会は、目から鱗が落ちる話題の連続。江戸前は鮨ではなく鰻を基点としている、とか、本当に旨い蒲焼きに焦げ目はない、とか、一対一の芸術鑑賞は食だけに可能だとか、山椒は蒲焼きではなく御飯にかけるのだ!・・・、とか。メモをとりたいのですが、一方でこの日だけの特別料理が次々と運ばれてくるのですから、参加者もたいへんです。
山椒は御飯にたっぷりと、です。
お料理といえば、これまた和塾の企画ならでは、通常は決して食べることの出来ない逸品がこの日も皆さまの眼前に。参加者の誰もが絶句した、野田岩の「肝焼」です。ひと串に10ほどの肝を刺して焼く肝焼は、一人前に10匹の鰻が必要ですから、どこの鰻屋でも貴重なメニューなんですが、ここ野田岩では、そもそも品書きに記載がありません。つまり通常は注文ができない。益博さんの美食巡礼だけに許された至福の一品なのです。下仕事がきっちりと施されたその肝焼は、本当に本当に、他店の肝焼きとはまったくの別モノ。贅沢で二度とない美食の極みでありました。
これがその野田岩の肝焼です。悶絶。
野田岩肝焼
食後は、今年87才になる五代目・金本兼次郎さんも加わって、旨い鰻の話しをたっぷり。食の分野に人間国宝があれば間違いなく認定されるであろうその人の顔は、一筋を極めた人間だけが持つ穏やかな強靱さを放つ見事なものでありました。
野田岩五代目・金本兼次郎さん。
お帰りには、ご参加のみなさますべてに、五代目の署名と箴言付きの著書「生涯うなぎ職人」を進呈。加えて、御飯に振りかけなきゃ、の「山椒」と野田岩特製の「うなぎあられ」をお土産に、お腹いっぱいでのお開きとなりました。五代目、ご馳走さまでした。
次回の開催は、7月。いよいよの鮨「すきやばし次郎」に出掛けます。