川喜田半泥子のすべて展 観劇・鑑賞会

黒田草臣先生のおすすめもあって、川喜田半泥子展に行ってきました。

川喜田半泥子=本名・久太夫政令(きゅうだゆうまさのり)は、銀行の頭取まで務めた三重県津市の素封家。陶芸も趣味として取り組んだものなのですね。東の魯山人・西の半泥子。両巨人は並び称せられることが多いようですが、これは「並列項」というより「対立項」ではないか、と思いました。

半泥子は明治11年(1878年)の生まれ。幼名は善太郎。魯山人より5才年長ですね。21才の誕生日に育ての親だった祖母から「己をほむるものハあくまとおもふべし、我をそしるものハ善智識とおもふべし」との遺訓を授かっています。幼い頃から自己を律する術を学んでいた。一方で、占い師に「今年は八方ふさがりです」と告げられ「留守中も用心が良い」と返した無茶法師の一面も。真摯と諧謔。芯の強い軽やかさ。
半泥子、器は器として創ったのじゃないかと思います。料理を盛るための器、用の美にこだわった魯山人とは、さまざまな意味で対立項なのだと思う展覧会でした。18日月曜日までです。