漆の美〜日本の美
漆芸蒔絵重要無形文化財認定・室瀬和美氏を招いて
日本三大料亭の雄「金田中」での宴
漆という字は「氵」(さんずいへん)。ご存じですよね。
樹木を漢字で書くと、桜も松も、桃も梅も、榎も柊も・・・、他はすべて「木」(きへん)なのに、漆だけが「氵」。不思議です。 ・・・漆芸蒔絵の人間国宝・室瀬和美先生によると、これはつまり、漢字が生まれる前から漆の木が樹液を取り出して活用されていた動かぬ証拠だとか。URUSHIの長〜い歴史を語る証左であります。
2月15日・新ばし金田中。漆芸蒔絵の人間国宝、日本の工芸美術の最高峰、室瀬和美先生をお招きした、和塾ならでは贅沢でまたとない宴。雪に埋もれた東京を、ちょっと暖かにする、とても素敵な時間になりました。
宴はまず、室瀬先生による「漆の美」にまつわるお話しからスタート。日本の工芸文化を世界に向けて発信しつづける先生のお話は、本当に聞くものの心を打ちます。講話の後は、先生を囲んでの会食。
今回の会場は、日本三大料亭のひとつ「金田中」ですから、この日はお食事も特別でした。加えて、漆の美を体感する宴ですから、器もスペシャルに。普段はなかなかお目にかかれない塗り物の逸品を惜しげもなく使った金田中の特別会席が、誠に贅沢に卓の上に並びました。
お食事の中程には、金田中のご主人と女将さんも加わって、会は一層華やかに。
お食事の後は、これも貴重。斯界の第一人者、室瀬先生による「蒔絵の実演」を間近で拝見。その超絶技巧は見る者を圧倒します。完成品を見るだけではわからない日本工芸の高みを実感できましたね。
ここまででも充分贅沢なのですが、本企画の目玉は、さらにその後にご用意したアクティビティであります。
漆芸蒔絵の人間国宝から直接ご教授いただく蒔絵のワークショップ。参加者一人一人に塗り物のお皿を配布し、先生のアドバイスを受けながら、そのお皿に自分なりのデザインを漆で描きます。描き終えたら、いよいよ蒔絵の体験。室瀬先生直々のご指導が、参加者一人一人に。ひとつの蒔絵皿を、蒔絵初体験の参加者と人間国宝が共同作業で創り上げる。和塾でなければちょっと実現できない、本当に貴重なひとときでした。
金粉を蒔き終えたそれぞれのお皿は、室瀬先生が工房に持ち帰り、数十工程の仕上げを施して、(この仕上げの工程に三ヶ月ほどかかります)立派な蒔絵皿として参加者の元に届けられます。世界に一つの、人間国宝との合作蒔絵皿。一生の思い出になる作品を手にする高揚感は、何物にも代え難い、和塾だけの「最高峰の和文化体験」なのです。
※以下の写真は、当日室瀬先生にお持ちいただいた珍品?の漆椀。
漆の器は、軽くて丈夫で、何より保温性に優れていて、しかも口当たりがとても良い。
ということで、三浦雄一郎さんとともにエベレストに登った器なのです。