震災から1年2ヶ月が経ちました。
昨年は多くの地域が祭りやイベントを自粛したなか、
率先して祭りが行われたのは被災地の東北地方でした。
人を祭りにかりたてるものとは?
そこで、民俗芸能研究では第一人者の三隅治雄先生をお迎えして
東北の「まつり」をテーマにその本質や人とのかかわりなどを学びました。
そもそも「まつり」とは神様への感謝・祈り。
人間を取り巻く霊(神様)の世界を慈しみ、なだめ、拝むことで
人間も幸せを施してもらう、という意識のようです。
そこに日を定め儀式化したものがまつりの起源。
それは神様と人間との”魂の交流”の時だそう。
冬は昨年の感謝と新年を、春には豊穣を祈願し、
夏は災厄を払い、秋には豊穣を感謝する。
季節に応じて趣旨が異なっているんですね。
日本の神様がとても人間的なのも、四季と関係があるような気がしてしまいます。
さて、今回はとくに東北のまつりということで
東北三大祭の一つ「青森ねぶた祭り」の映像を鑑賞しました。
青森ねぶたは開催まで1年がかり。
祭りが終わった翌日から、来年へ気持ちが向くとか。
地域全体で助け合いながら、大きな”ねぶた”を作りあげていく様子は、
一人ひとりが職人のよう。
多くの人の気持ちが”ねぶた”にこめられています。
また、祭りは時代にあわせて変化しているそうで、
何代にも渡って作り上げられ”地域文化の結晶”となっていくのだそうです。
祭り当日は「らっせら~」の掛け声とともにねぶたが町内を練り歩きます。
観る者をも魅了する祭り独特の踊り、リズム。
その瞬間にほとばしるエネルギーが”魂の交流”に繋がるのでしょうか。
最近のねぶたは保存のために針金や電球を使用していますが
昔は竹と蝋燭で作られ、最後には火をつけて川に流していました。
(今、ねぶたが流れてきたら・・・!)
これは、ねぶたが旧暦7月の七夕行事に始まる祭りで
”魔や穢れを形代につけて水に流す”というところからきているためです。
時間をかけて作られたものが”1度きり”
というのはなんだか粋です。
今回、三隅先生のお話を伺って感じたことは、
人々のパワーが神様にも力を与え、土地が盛んになるのでは?ということです。
こういう時代だからこそ、受け継がれてきた行事を大切にしたいですね。
最近の祭りは観光に力を入れているものが多いですが
「まつり」の本質である神様への感謝や、普段は出来ない魂の交流、
そして地域の特色なども意識してみると違った楽しみ方ができそうです。