赤坂金龍「お座敷落語の会」第一回・柳家権太楼「唐茄子屋政談」

贅沢に落語を聴きたい。今どきなかなか難しい注文です。ホールや演芸場での落語は、都内だけでも年間600本も開催されているのですが、「贅沢に優雅に上等に」というと、ほとんど皆無と言っても良いのではないでしょうか?
そこで、和塾の新企画。料亭のお座敷で落語を聴く会、であります。落語の後は、演者も交えてのお食事。ちょっとお大尽の気分で、人情噺をたっぷりとご堪能いただきました。
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山本益博プロデュース
料亭で噺を聴く・第一回
柳家権太楼「唐茄子屋政談」
日時:平成27年8月1日
会場:赤坂「金龍」
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この企画、プロデュースは和塾の「美食巡礼」でおなじみの山本益博さん。益博さんは、料理評論家として著名ですが、実は落語もお詳しい。最近では、落語評論家の肩書きも公になって、ホール落語などのプロデュースも精力的にこなされているのです。ホールでは味わえない落語の機微を、できれば料亭のお座敷などで堪能できる会を開催できないものか、という相談を受けて、和塾が共催。お世話になっている赤坂金龍のご主人にもお手伝いいただき、本企画の開催と相成った次第であります。

暑い盛りの8月初旬、金龍のお座敷に集う皆さまへのお題は「唐茄子屋政談」。まさにこの時季にぴったりの、うだるような暑さの中での人の情にあふれた涙と笑いの人生譚。1時間近い大演目が短く感じるような権太楼師匠の話芸、流石です。この演目は、ともかく登場人物が多いので、その語り分けは、相当な力量ある噺家でなければ難しい。しかも、会場がお座敷ですから、お客さまは目の前から見つめている。少人数の会ですから、客席からの圧力もかなりのものです。第一回の演者に権太楼師匠を指名した益博さんの意図が良く分かる貴重な時間でもありました。重鎮の面目躍如。大師匠で無ければ、こんな濃密な時間はつくれなかったのではないかと思います。

二階大広間での人情噺の後は、席を移しての食事会。権太楼師匠や益博さんも席に入って、楽しいお話しがつづきます。お料理は金龍謹製のお弁当。今回の演目「唐茄子屋政談」を受けて、唐茄子=カボチャを使った献立が素敵でありました。