今月は、「お酒を注ぐ」という振りを取り上げたいと思います。
お酒を注ぐ、という動作については皆さんも、日常の中で注いだり、注がれたり、またご自分が飲めない方でも目にする機会があるかと思います。日本舞踊においても、「お酒を注ぐ」という動作は、振りとして様々な演目の中に登場します。
「お酒を注ぐ」という振りを表す際に、日本舞踊ではとっくりや盃をお扇子で表現いたします。例えばお扇子をとっくりに見立てる場合は、お扇子を一間(いっけん)(※1) 開けて、要を上にしてお扇子を立てて表現します。また、同じように一間開けた状態でお扇子を横に倒して受けるようにすると、盃を表現することができます。更に、お扇子だけでなく、お袖の袂をとっくりや盃に見立てることもございます。
今月は、お扇子を使った「お酒を注ぐ」の振りを行う際に大事にしていただきたい三つの秘訣について、実演・解説をさせていただきます。
(資料1:三つの秘訣)
(※1) お扇子を畳んだ時に表裏に出る太い骨を親骨(おやぼね)、間にある細い骨を中骨(なかぼね)と言い、中骨の本数は“間(けん)”で表す。また、親骨に対して中骨1本目までお扇子を開けることを“一間(いっけん)開ける”と、表現する。
次週は、一つ目の秘訣、重みを感じる。
どうぞよろしくお願い致します。
[連載一覧]宇津木安来・日本舞踊の動く辞典
・00 はじめに
・01 お酒を注ぐ【はじめに】
・02 お酒を注ぐ【秘訣①:重みを感じる】
・03 お酒を注ぐ【秘訣②:重心を感じる】